【要約有】イーサリアム考案者ヴィタリックとのAMAイベント動画がイーサリアム理解にオススメ!

Ethereum

本記事では、僕が最近たまたま見つけた下記動画が、僕含めイーサリアムの勉強中の方にとても役立つ動画と思いましたので共有と内容メモしたいと思います。

動画はETHTerakoyaさんの動画で、「宮口あや氏・ヴィタリック氏に聞くEthereumとEF」という題目の公開AMAイベント(2021/3/10開催)の動画になります。

※AMA = Ask Me Anything

動画の中では、全部で19個のQAのやり取りをしていて、どれも気になる内容だったのでとても中身の濃い内容かと思います。

では以降から早速QAになります。とても長いので個人的に重要な点を赤太字にしていますので、サラッと読みたい方は赤太字部分を見て頂ければと思います。

EFが最も力を入れてる課題

現在のEthereum Foundationが最も力を入れて解決しようとしている課題は?

Vitalik)私たちEFは、実は色々な事を同時に色々なチームて回している。今はEthereum2.0の開発を完了させる事に最も重点を置いている。その問題を今後アップデートしていくことも考えておりその作業を邁進している。Ethereum2.0では技術的な面などの領域の強化を目指しているがまずは、ProofOfWorkからProofOfStakeの作業を強化している。またスケーリングにおいては、特にsharding部分を強化していかなければいけないと感じている。他にも全体的な生産性の効率化・エネルギー効率の向上にも取り組む必要がある。

宮口あや)EFの主な役割はオープンソースのエコシステムをサポートすることなので、今言った開発プロジェクトの全てがEF内で行われているわけではない。EFのチームもいるが、コミュニティのメンバーとも一緒に作り上げていくので、その為、コミュニティメンバーや、オープンソースの開発者達をどの様にサポートしていくかが常に永遠の課題となっている。EFの方でモデレーターなどのメンバーに助成金を出す事をしながら助成金の資金を出すグループをどう分散化していくかの課題があります。この後ヴィタリックが話すと思いますが、プラットフォームが成長している中でアプリケーションが実際に世界の問題を解決することがゴールなので、世の中の為になり問題を解決してくれるアプリケーションをもっと増やしていこうということで、ユニセフと一緒に活動したりサポートしています。もうすぐ発表されるEF fellowshipでは世界のチェンジメイカーと一緒に問題を解決していくプログラムももうすぐ始まります。

ステーキング参加者について

お金を稼ぐことを目的としてステーキングに参加する人を歓迎しますか?

Vitalik) ステーキングというのはある程度利益目的で参加する人が含まれるのは当然であり、それ自体は何も悪い事ではないと思います。報酬に値するものを提供する事により、インセンティブが提供される構造ができている。

EIP1559の効果について

EIP-1559 はトランザクション速度・GAS コスト低減にどの程度寄与するか概算でも良いので定量的に伺いたい

Vitalik) ガスの価格については全員が安くなるわけではない。高額のガス代を払ってた一部のユーザーに対して影響が出るのは間違いないEIP1559の最大のメリットはトランザクションのスピードであり送ってからチェーンに反映されるまでの待つ時間を劇的に短縮する事が出来る。高い手数料を払えば高速化することはもちろん出来るが低い手数料でもこれまでより約1-2ブロック速い速度を実現することが可能です。

イーサリアムの欠点

イーサリアムの最大の欠点とは何だと考えていますか?

Vitalik) やはり手数料が高すぎる事が最も大きな課題。解決策としてはスケーラビリティを上げること。現状は限られたスペースの中で多くの人が競っている状態であり、その状況が高額な手数料を引き起こしていると考えている。その為にシャーディング、レイヤー2プロトコルの開発を行なっている。さらにイーサリアムクライアントの改善や他にも様々なことに取り組んでいます。

宮口あや)他に欠点というかわからないが、度々「開発が遅い。タイムラインが読みにくい」という声を聞くのでその背景をお伝えしたいと思う。開発において分散型を絶対妥協しないという理念があり、解決したい問題を、分散型を妥協せずに行うことがいかに難しいかは開発してる人ならわかると思います。しかも常に使われているアプリケーションなのでアップデートも分散型を維持しながら、開発の仕方もトップダウンで行うのではなくみんなで行うのでとても大変な作業。最初にイーサリアムが出てきた時はそんなの無理じゃないかという話だったのですがここまで進んでいるので、スピードをゆっくりやる事に意味があるのを理解して頂きたい。

イーサリアムの価値とは

イーサリアムに通貨としての価値がつく意味、価値の源泉とは何でしょうか

Vitalik) イーサリアムの通貨としての価値があると思います。なぜなら人によって理由は様々ですが、イーサリアムは必要とされてるからです。トランザクションの手数料を支払う事に使われるのはまず1つですがそれは沢山ある理由の1つに過ぎません。イーサリアムは沢山の種類のDappやアプリケーションへ参加するのにとても使いやすいです。例えば沢山のDefiプロジェクトでの担保としての用途、ペイメントやその他の様々な用途でも使われることで価値が生まれてくると思います。

ビーコンチェーン

ビーコンチェーンの今後のロードマップを教えてください。

Vitalik) ビーコンチェーンはProofOfStakeの為に開発されたものであり、2020/12に発表されてから現在まで安定して稼働している。今第一弾に検討しているのはビーコンチェーンのハードフォークに関してです。6月から夏にかけて作業する予定で、それにより効率性の向上、簡略化がプロトコルにおいて実現できると考えています。

次のマイルストーンとしてマージがありイーサリアム上にある全てのコントラクト、トランザクション、DappなどをProofOfWorkからビーコンチェーンに移す予定です。そうするとProofOfWorkが必要なくなってくるので、全てがビーコンチェーン上のProofOfStake上で機能していく事になります。

マージが完了したらシャーディングを行いスケーラビリティを向上させていく予定です。短期的にはまずシャーディングをレイヤー2のプロトコルにかけてまずはロールアップを使っていくが、それだけでは今後ユーザーが増加する事で対応が困難になると思うので状況に応じて作業を変化させる事も考えられます。

ETH2.0によるチェーンの影響

ETH2.0によってチェーンが分かれたりする可能性について見解を教えてください。

Vitalik) もちろんチェーンが2つに分かれる事はあり得ると思いますが、マージを拒否しても従来のProofOfWorkを使い続けることは可能ではあります。実際にハードフォークの作業が今後発生する事が考えられるので需要があればそれはそれで良いと思ってます。2つに分かれる場合、大きな分割になる可能性は低いと考えており多くの人がProofOfStakeに移行するだろうと考えている。その理由として、ProofOfWorkを使いたい人は既にイーサリアムクラシックに移行していると考えられる為です。

シャードチェーン

Shardingの種類として、データを載せるだけのData Shardingと、スマートコントラクトも実行できるExcution Shardingに分類出来ると思うが、将来的にShard chainsでスマートコントラクトをサポートする予定はありますか?また、Shard chainsでスマートコントラクトをサポートしないと実現できないアプリケーションはどんなものがありますか?

Vitalik) Excution Shardingと、ロールアップのData Shardingでは大きな違いは無いです。Excutionで直接、中でShardingを行うものと、ロールアップを通じて行うものの違いは、それほど大きくないと思ってます。ただし今後Shardingの機能に関しては充実させていく考えではあります。

コロナによる影響

Covid-19によってイーサリアムの開発に影響はありましたか?

Vitalik) 私たちのチームはとてもインターナショナルですがしばしば対面で会って様々な開発を進めてきました。ただコロナ禍で対面というのが思うようにいかないことがありましたので従来通りに進めることが出来なかったこともありますが、同時にオンラインで効率的に仕事をする事ができたと思います。過去の12ヶ月間は比較的に大きく実績をあげながら前に進めたと思います。

Defiとステーキングのリワード

DeFiよりもステーキングの方がリワードが低なっているがどうやって人々にステーキングするように説得しますか

Vitalik) そうは思わないですね。一時的にはそのような状態があったかもしれませんが、金利に関してはStakingに参加する人が少ないほどリワードは上がっていくと考えられるので、その中で参加する人に関してのStakingがどうなるかについては、常に積み上がるというだけなのでそんなに変わらないと思ってます。また、あるDefiプロジェクトの金利が高くなっている今の状況は永遠には続かないと思います。もし質問の内容が本当であれば、それは今新しいDefiプロジェクトが立ち上がりGiveAwayを行い、LiquidityFarmingをしているからかもしれません。この状況が長く続くのは考えにくく、最終的にこの様な高騰は落ち着くでしょう。

PredictionMarket

ヴィタリックはなぜPrediction Marketが好きなのでしょうか?

Vitalik) 私にとって非常に興味深い領域であり、それをうまく見据えることができれば正しい情報を得ることができ多くの人たちが何を未来に期待しているかがわかるからです。今私たちが知りたいことはたくさんあり、未来がどうなるのか、これをこうしたら今後結果として何が導き出されるのかなどですが、今のメカニズムとしてはある一定の機関やグループの人達に依存する形になっているのですが、その場合どうしてもイデオロギー的なバイアスや、中立的なバイアスが掛かっている。皆が信頼できる機関があまりないのが現状です。対してプレディクションマーケットはオープンであり、中立性が担保されており誰でも参加可能ということからバイアスが掛かりづらくなっている。またバイアスが掛かっているという事なら自分が反対することに対して参加すれば良いので、こうした自己制御型の機能が働いているこの構造にとても魅力を感じています

イーサリアムの学習機会

イーサリアムのスマートコントラクトが複雑になればなるほど、開発者と利用者の学習コストは上がっていく様に思います。Ethereumコミュニティでは学習機会の提供が課題になってくると思っています。どの様に学習機会の提供をしていくことを考えていますか?

宮口あや)学習コストが上がっていくかは、今までのところで見ると、最初のクリプトやブロックチェーンが始まった初期の何も学習マテリアルが無い頃と比べると、色んな教材がフリーで存在しており開発者の人もethereum.orgに行くとビギナーがどこから入って、どうやって自分で学べるかみたいな初心者向けのチュートリアルもすごく増えてきているので、一概にコストが上がっているとは言えないのではないかと思います。新たな情報が増えていくことで追いついていくことが難しかったり、それから一般の人たちのイーサリアムだけでなく色んなブロックチェーンが増えてきていて使う側が何を知っておかないといけないかの情報のピックアップがものすごく難しいと思うんですね。基本的にオープンなコミュニティなので、情報を誰でも提供できるし誰でも見つけられる様にしているのですが、逆に今は難しいチャレンジは情報が多すぎてどれを信じて良いか分からないといのうがあるのでその事も踏まえ、今回ETHTerakoyaさんのイベントで質疑応答の場も必要だと思い、開催させて頂いています。こちらから出来る限りの事はしたり、あとは開発者だけでなく研究者や一般の人たちに向けて、例えば大学で今まではコアなリサーチの部分は大きな大学と一緒に研究者同士が話あって進めていくことがありました。大学でブロックチェーンの授業が出来てきたりしているので、そういうところをもっとサポートしていきたいと思ってます。

Vitalik)確かにそうだと思います。 学び始めるベストな方法の一つとしては、自分のアプリケーションを開発することだと思います。またテストネットワークといったところで色んなことを試せると思います。私たちは今も努力していることはそのプロセスをもっと簡単にすることです。このプロセスはエコシステムの中でロールアップやスケーリングなど色んな所に変更を加えてなるべく開発は簡単に出来るようにしていかないといけないと思ってます。

ヴィタリックがやり続けれた理由

イーサリアムの特徴として、いろんなことが実現できることが強みだと思います。その戦略を取り続けるのは難しかったと思いますが、ヴィタリックがそれをやり続けることができたのは何故でしょうか。

Vitalik) イーサリアムの魅力はクリエイティビティの為にオープンプラットフォームであるという点です。そこで様々な人がクリエイティブな能力を発揮して開発を行っており私が予想もしていなかったものが生まれている。例えばNFTは私が全く想像していなかったものでありDAOに関しては、記事は書いてはいましたが、実際にDAOがどのような形で使われるかは、私が想定していたユースケースを遥かに超える形での新しい使い方が出てきており、思ってた以上の、思いもしなかった価値がオープンソースのプラットフォームの中で生まれているということがすごく魅力的ですし、「何のために、誰が」を想定できないところや、その中で使い勝手のいいものが生まれてくる事に私は惹かれています。

Rollupについて

Optimistic Rollup / ZK Rollupどちらがより普及すると考えていますか?また両方が活用されるのであれば、どんな違いが出てくると考えていますか?

Vitalik) まずこれにつきましては、最近「Vitalik.ca」にて「An Incomplete Guide to Rollups」の記事を書きました。そしてオプティミスティック・ロールアップとzkロールアップとそれぞれがどういう特徴があって、どの様な形で普及していくかは、その記事に記載しております。zkロールアップはシンプルなアプリケーションに適しており、例えばファンドのトランスファーや、分散型で使う場合に有効に使うことができます。オプティミスティック・ロールアップはスマートコントラクトなどに使うことに適している。例えばEVMなどをサポートしています。今後数年間は オプティミスティック・ロールアップ が使われていくとは思うが、暗号化技術が進化していくにつれてzkロールアップが主体になっていくと考えられる。

イーサリアムのプライバシー強化

イーサリアムは今後どのようにしてプライバシーを強化していくでしょうか?もしよければロードマップを教えてください。

Vitalik) いくつかのLayer2プロトコルのプライバシー強化の為の開発を進めております。その中の一つにAztecというものがあります。Aztecは現在開発中で、ゼロ知識証明の技術を使ってスマートコントラクトのプライバシー強化を行っていきます。また、今存在しているシンプルな例として、トルネードキャッシュがあり、どうにかプライバシーを守れないかと模索しているのですが、ただ一番の問題というのは、手数料がとても高いということです。ガス代が大変高くなってしまうので、その問題をどう改善するかは先ほどの質問でも話したように今後、スケーラビリティを強化する予定ですので、オプティミスティック・ロールアップかzkロールアップなどがもっと使われることでガス代も改善されると思いますし、他にもプライバシー問題を解決するプロトコルも存在しますし、先ほど説明した新しいテクノロジーのAztecも進めています。

quadratic fundingとpublic goods

quadratic fundingとpublic goodsに関して現在の見解を教えてください。

Vitalik) quadratic funding は今後様々な形で活用されていくと考えている。まだ実験段階ではあるが、Gitcoin Grantなどは、パブリックグッズの中でどのように展開していくかという点ではいくつか成功例も出てきている。そして多くの方々が quadratic funding に自信を深めています。イーサリアム内ではもちろん、他のクリプトのエコシステム、さらにはクリプト以外でもプロジェクトが立ち上がってくるのではないでしょうか。

他ブロックチェーンについて

最近出てきている他のブロックチェーンについてどう思いますか?

Vitalik) 現在様々なチェーンがあり中には非常に人気の高いチェーンもあるが、それはイーサリアムの手数料が高いことが原因であると考えている。新しいチェーンのプロジェクトは問題を解決することに挑戦していますが、その方法の殆どは中央集権型なチェーンを作っているだけです。対して我々のイーサリアムに関して言えば非中央集権型なのでイーサリアムノードは通常のコンピュータ上でも走らせることが可能です。その手の中央集権型のチェーンは強力なハードウェアやかなり大きな容量のハードドライブも必要になります。大体この手の 中央集権型の チェーンは少ない数のノードが走っているだけのことが多いです。イーサリアムのProofOfStakeは1000単位のバリデータがいますが、たいして 中央集権型のチェーンは 、20-100くらいでそこまで多くないことが多いです。例えばブロックを大きくするだけのようなシンプルなアプローチのスケーラビリティでは、長期的に運用する事が難しいと思います

宮口あや) フォローアップさせて頂きます。私は日本人なので日本をよく見ているので日本の方は特に投機で色々なものに興味を持っている方が多いと思います。色んな目的でブロックチェーンに興味を持つのは個人の選択だと思いますが、ブロックチェーンは本来分散型の技術を意味していたのですが、情報をしっかり見ないと、分散型なのかどうかは、シンプルにノードの数だけではなくて、色々なクライアントがどのくらいの多様性があるかなど色々な要素があるので、情報が中々掴み難いですが、ブロックチェーンの名のもとに現状は分散型ではないものも存在している事を今回のイベントを通じて学んでいただければと思います。

イーサリアムキラー

2017年以降から出てきている沢山のイーサリアムキラーに関して、うまくいっていないプロジェクトは一緒にまとまって例えばイーサリアムのサテライトのような形でピボットした方が良いものもあると思いますが、ヴィタリックはどう思いますか?

Vitalik)Layer2にピボットはできるのではないかと思います。確かいくつかのケースとして、サイドチェーンを作ってロールアップに移行しようとして始めてやっていたプロジェクトがあると思いますが、今のところロールアップはイーサリアムのコミュニティが発足した初期から作られたものですし、但し今後ロールアップが拡大していった場合には新しい展開も考えられる。

宮口あや) ビジョンがアラインされて作られていれば皆んな努力して作っているので、ある程度開発が進んでいるならば一緒に開発を進めたほうが理想的と皆んな思うと思うんですが、やはり、プロジェクトのインテンションが違えば分散型を妥協しないとか、個人のエゴで作ってるものもあるので、理想的には本当はみんなでゴールに向かって開発した方がいいと思います。

エンタープライズイーサリアム

エンタープライズイーサリアムの一番の売り、ゴールはどれでしょうか?

イーサリアムエンタープライズの最大の特徴は様々なブロックチェーンのユースケースで利用できるという事です。企業向け、政府向け、NGO向けなど色んな活用ができると思います。当初、エンタープライズでは、彼らはプライベートチェーンの方に興味を持っており、当時人々はパブリックチェーンは熱狂的な人、ハッカーや個人向けだと思っており、エンタープライズ向けとしては、プライベートチェーンの方が良いのではないかと意見が主流だったと思います。しかし、最近はプライベートチェーンが大きな進捗を見せておらず、パブリックチェーンの方が進捗を見せています。最近は企業でもパブリックチェーンを使って企業用のアプリケーションが作れることに気づき、使われ始めており、その中にイーサリアムもあります。彼らはイーサリアムに対してスケーラビリティやプライバシーの懸念点を持っているが、我々のプロジェクトがその両方の懸念点を改善することで、イーサリアムのパブリックチェーンを使って様々な用途のアプリケーションを作ることに興味を持っている企業がかなり増えているように見えます。

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